自社の商品・サービスを紹介する際に欠かせない営業資料ですが、「無駄に作成時間がかかる」「何を伝えたいのかわからない」といった資料を作っていませんか?
作成する機会が少ないと、完成までに時間がかかってしまい、他の業務に支障が出てしまうこともあります。
そこで本記事では、営業資料やサービス販促資料で差をつける作り方や構成の参考、王道の無料テンプレートなどを脳科学の視点からロジカルに解説します。
本記事を参考にしていただき、顧客に響く営業資料を量産できるようになりましょう。
営業資料とは?
営業資料とは、営業相手に向けて自社の商品やサービスの魅力をアピールする資料のことです。
営業資料には、以下のようにいくつか種類があります。下記の表の目的にあわせて、適切なタイプを選びましょう。
顧客がどのくらい興味を持っているかどうかの購買フェーズによって、適切な営業資料の種類は変わります。
自社のサービスや商品の説明は、Webサイトよりもパンフレット、パンフレットよりも提案書の方がより詳細に記載できます。
営業資料を準備すべき理由
次に、営業資料を準備すべき理由をお伝えします。
営業資料の重要性を知ったうえで、資料作成に進みましょう。
提案時のサポート役になる
営業資料を使うことで、口頭での説明よりも提案内容を、正確かつ効果的に伝えられます。
資料なら、口頭だけでは伝わりにくい内容でもイラスト・図・グラフを用いて説明できます。
また、営業資料をあらかじめ準備しておけば、プレゼンが苦手な営業担当者の場合でも、資料が心強い味方となるでしょう。
さらに、優れた営業資料をテンプレート化して社内共有できれば、個々の営業スキルによって生まれていた営業成績のギャップを緩和できるでしょう。
購入検討時の参考資料になる
一般的に、初回の商談だけで成約に繋がることは非常に稀と言えます。
そして、商談後に営業担当者の手を離れてから大きな検討材料となるのは営業資料なので、資料の作り込みは重要です。
どんなに口頭で詳しく丁寧に説明しても、聞き手が社内に一言一句正確に共有するのは難しいでしょう。一方、営業資料は顧客の手元に残り続け、何度も見返すことが可能です。
提案時のサポート役としてだけでなく、商談後の参考資料としても、営業資料の準備は欠かせません。
営業資料の構成の作り方
営業資料の基本的な構成をまとめました。
項目ごとのポイントも記載しているので、作成時に参考にしてみてください。
- 表紙
- 現状整理と課題提起
- サービスや商品の詳細説明
- 導入のメリット
- 実績
- サービスの価格
- よくある質問
- 会社概要
- お問い合わせ先
表紙
営業資料の表紙は、資料の目的と商品・サービスの概要を簡潔に伝えるスライドです。
また、会社や商品・サービスの第一印象を決めるものでもあります。表紙と中身との整合性を意識して、表紙を見るだけで、どんな情報を得られるかが伝わるように作成しましょう。
目を引くようなキャッチコピーや、顧客が得られるメリットなどを簡単に記載しておくと、聞き手の目を最初から引く事ができ、スムーズに提案に移行することができます。
ただし、シンプルが一番であることは忘れないようにしましょう。
現状整理と課題提起
表紙に続き、このスライドでも「興味付け・注意喚起」が目的となります。そのため、顧客の現状やその背景を整理したうえで、悩んでいるであろう未解決の課題を投げかけます。
顧客が「まさに自社が抱えている課題だ」と感じてもらえるように、業界トレンドや市場環境などの客観的なデータを参考に、現状と理想のギャップを認識してもらいます。
そのため、今後目指していきたい理想の姿を、この段階で必ず擦り合わせるようにしましょう。
ここで自分に関係がある話だと思ってもらえれば、この後も関心を持って話を聞いてもらえます。
サービスや商品の詳細説明
このスライドでは、単なる売り込みよりも、聞き手に商品やサービスの魅力を知ってもらうことが焦点になります。先ほど提示した課題を、自社が解決できることを暗示的にアピールしましょう。
ここでの注意事項としては、専門用語を使わずに誰が読んでもわかるように詳しく説明すること、そして、商品やサービスの詳細を長々と説明しないことです。
導入のメリット
サービスや商品を導入すると、顧客にどのようなメリットがあるのかを記載します。
顧客にとって一番知りたい項目なので、導入によって得られる成果を具体的に紹介しましょう。
コストの削減であれば「〇〇%カットできる」と、客観的な数字を用いて具体的に説明すると説得力が増します。
費用対効果は、顧客が導入するかどうかの判断に重要な指標となるため、ここで示してみると良いでしょう。
実績
実績は信頼を得るために大切な項目なので、実際の導入企業における過去の実績を紹介しましょう。
特に、導入前と導入後のビフォーアフターを、画像やインタビュー付きの記事などで提示できると効果的です。
また、顧客が自分たちと重ねやすいように似た状況の企業を紹介すると、導入後をイメージしてもらいやすくなります。
利用者の声として客観的な評価を載せておくのも、信頼性を向上させるのにおすすめです。
サービスの価格
次にサービスや商品の価格を記します。プランが複数ある場合は、違いが分かりやすいように比較表を用いると良いでしょう。
比較表のコツについてですが、マーケティングの分野で頻繁に使われる法則として「松竹梅の法則」があります。これは、条件の異なる3つの選択肢が提示されたとき、人は中間のものを無意識に選んでしまう心理のことです。
そのため、最も売りたいプラン・商品が真ん中に来るように価格を設定してみましょう。上記の画像であれば、真ん中の運用プランがそれに該当します。
よくある質問
よくある質問の項目では、顧客が抱きやすい疑問点に対しての補足情報をQ&A形式でまとめます。
本編では提示できなかったデータ、事例などを意識的に盛り込むと相手も納得しやすくなります。なるべく多く記載しておけば、顧客が社内検討時に疑問を持っても見返して、不安をすぐに解消してもらえるでしょう。
また、よくある質問を頭に入れておけば、説明の途中で質問を受けても、慌てずに対応できます。
もし「できかねます」のように回答としてネガティブな印象を与えそうなら、代替案を入れてください。よくある質問は、顧客に安心感を与えるための項目だと意識しましょう。
会社概要
自社の概要を記載します。会社情報の詳細を伝えることは、信頼性の向上のために重要です。
記載項目は以下を参考にしてください。
- 会社名
- 代表者
- 所在地
- 電話番号
- 設立
- 事業内容
- 資本金
- Webサイト
可能な限り、詳細に記載して信頼を獲得しましょう。
お問い合わせ先
営業資料の最後には、お問い合わせ先を記載します。電話番号だけでなくメールアドレスやFAX番号など、なるべく複数の連絡方法を提示すると親切です。
顧客にとって次のアクションが不明確だと「面倒くさいな」と思われてしまい、魅力的に感じてもらえても商談や成約に繋がりません。
検討中にすぐに行動に移してもらえるように、次のアクションを提示したうえで問い合わせ先を明記しておきましょう。
営業資料で差をつける要素 7選
営業資料を作成する際に押さえておきたいポイントをまとめました。
以下のポイントを意識しながら、顧客の心にに響く営業資料を作りましょう。
作成前に営業相手の立場に立つ
営業資料の作成に入る前に、まずは営業相手について考える必要があります。顧客に響く内容にするためには、営業相手の視点に立つことが大切だからです。
相手の立場を考えて作成することは、これから紹介する4つのポイントを全てクリアするために必ず必要なことです。「画像があるとイメージしやすいかも」「今はどの商談フェーズなのか」「相手の商品理解度や関心レベルはどれくらいか」など、考慮すべきことは山のようにあります。
一方的に商品やサービスの魅力を伝えても、顧客に響いていないと感じている営業担当者の方は、これが根本的な原因かもしれません。
そのため第一に、営業相手の立場に立って資料を作るということを念頭に置いておきましょう。
★これは資料作成だけでなくプレゼン全体でも言える事です。合わせて下記の記事もご覧ください。
訴求ポイントから逆算して作成する
営業相手の立場にたって提案方法を考えていけば、訴求すべきことが徐々に見えてきます。
いきなり資料デザインから入るのではなく、マインドマップなどを活用して全体のストーリーの骨組みが完成してから取り掛かりましょう。
なお、訴求ポイントを営業資料に落とし込む際、「ピークエンドの法則」を活用すると効果的です。
ピークエンドの法則とは、過去の経験の印象は、感情の最高到達点(ピーク)の時と、最後(エンド)の時の印象で決まるという法則です。
そのため、最大の訴求ポイントを、資料のまとめ部分でインパクトを持たせて強調できると、強烈な印象を相手の頭に残すことができます。
思いつくままに作成してしまうと、結局何を伝えたいのかわからず、心にも響きにくい営業資料になってしまいます。戦略的に盛り上げる箇所を用意しておくことが、営業資料を作るうえで意外とカギになります。
1スライド1メッセージ
営業資料を作るうえで、よく言われるのが「1スライド1メッセージ」の原則です。
先述しましたが、あくまでも営業資料は説明の「サポート材料」です。そのスライドで伝えたい内容を要約して一言にまとめ、補足情報を口頭で話すようにしましょう。
これを徹底する事で、各ページの役割が明確になり、無駄なページを作らずに済むはずです。
どうしても1メッセージ以外に文章で記載したい内容があれば、文字の大きさや太さで濃淡をつけるなど、メインで伝えたい部分を聞き手が汲み取れるような工夫が必要です。
使用場面をイメージしたデザインにする
営業資料を使うシーンをイメージしたうえで、デザインすることも重要なポイントです。
例えば、広い会議室でプロジェクターを用いて資料を投影する場合、文字が小さかったり色が薄かったりすると視認性が低くなります。
この場合、フォントサイズを調整する、はっきりとした色を使う、視認性の高いフォントを使うなどのデザインの工夫が必要です。日本語であれば、「メイリオ」「游ゴシック」が視認性の高いフォントとして有名です。
メイリオ | ▶無機質すぎず読みやすい ▶太字にすると強調しやすい |
游ゴシック | ▶太さに応じて種類が3つある ▶多くの人が読み慣れてる |
また、配布して見返してもらう資料の場合、社内で検討する時のことを考慮して、可能な限り情報量を盛り込めるデザインにすると効果的です。
そして、オンライン営業の場合もそれに応じたデザインの工夫が必要です。以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
視線の移動を意識したレイアウトにする
人が情報を視覚から集める時、その視線の動きには法則性があると言われています。
法則としては下記の2つが有名で、チラシやポスターではこれに合わせて配置が決められています。
Zの法則はざっくりと全体を見たい時、Fの法則はじっくりと細かく内容を見たい時に現れることが多いです。
そのため、その流れに沿ってストーリー性を持たせたり、最も伝えたい内容を先頭に配置したりといったテクニックが使えるでしょう。
ビジュアルは左側に設置する
営業資料に画像やグラフなどを設置したいときは、人間の脳の働きを考慮すると、より目線を集めやすく見やすい資料にすることができます。
人間の脳は簡潔に言うと、右脳で直感的に考え、左脳で論理的に考えます。
右脳は左の視野、左脳は右の視野でクロスして情報処理を行うため、営業資料の左側にはビジュアル的な要素を、右側には文字情報を設置してあげると効果的です。
社内共通のテンプレートを作る
社内共通のテンプレートを作るのもおすすめです。資料作成の手間が省けるので、営業資料作り以外の事前準備に時間を割けます。
商談へとつながった営業資料のテンプレートを共有すれば、会社全体の営業力の向上が期待できます。
また、社内にまだ固定テンプレートが存在しない場合は、無料のテンプレートを活用することもオススメです。次項で無料テンプレートを2つご紹介します。
無料テンプレートで簡単資料作成
一から営業資料を作る場合、まだ社内に固定テンプレートが存在しない場合、無料のテンプレートを活用するのがおすすめです。
テンプレートを利用すれば、作成の手間が省けるのはもちろん、クオリティの高い営業資料を社内全体で量産できるようになります。
ここでは、営業資料の王道テンプレートを2つご紹介します。
Microsoft
Microsoftでは、営業職向けに営業資料だけでなく、会社案内や見積書、納品書のテンプレートを揃えています。
人事・経理書類、名刺や送付状まで一緒に作成できるので、他部門の方に紹介してみても良いでしょう。
テンプレートは、主にPowerPointをはじめとしたOfficeサービスで利用できます。Officeサービスを社内で利用していれば特におすすめなので、利用シーンにあわせて適切なものを選んで、活用してみてください。
Canva
Canvaは、デザイン初心者でも簡単に無料で使えるデザインツールです。
実は営業資料やプレゼン資料のテンプレートが豊富に揃っており、いずれもプロがデザインしたものなので、おしゃれでデザイン性の高いテンプレートを見つけることができます。
本記事で掲載している営業資料のサンプルも、Canvaテンプレートを活用したものです。
PowerPointやpdfなど様々なファイル形式でダウンロードできるのも魅力的です。ただし、形式によってはデザインが崩れてしまう場合があるため、注意が必要です。
まとめ
今回は、営業資料の作成ポイントや基本的な構成、テンプレートサービスを紹介しました。
営業資料は作成前に必ず営業相手の分析をして伝えたいことを整理しましょう。そして、顧客に自社の商品やサービスを導入するメリットが伝わるように記載するのが最も大切です。
基本的な構成を頭に入れ、テンプレートを利用すると、スムーズに質の高い営業資料を作れます。顧客に響く営業資料を作成できれば、一気に差を付けることができるでしょう。
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