営業が商談を進めるときのステップのひとつとして「クライアントの合意を得て成約すること」をクロージングといいます。
クロージングに持って行くためにはさまざまな手法が効果的ですが、なかでも特に有効なのが「テストクロージング」です。
今回はテストクロージングをおこなうメリットや成功させるためのコツ、注意点などを紹介します。
営業成績を上げて自社の売上をアップさせるために、ぜひ本記事で紹介する内容を取り入れてみてください。
テストクロージングとは?
商談の途中で、相手に商品を購入する意思があるか確認することを「テストクロージング」といいます。
クロージングの前に、クライアントが感じている課題や購入意欲を確認することで、受注する確率を高めるのに有効です。
なぜ有効かというと、相手と温度感を合わせて求められている課題を把握し、ニーズに合った提案が可能になるからです。
ただ、テストクロージングを何回もすると不信感につながる恐れがあるので、適切なタイミングで質問することが大切になります。
テストクロージングの3つの効果
相手の温度感がわかったり、信頼関係につながったりするなど、テストクロージングにはさまざまなメリットがあります。
具体的な3つの効果について見てみましょう。
クライアントの温度感がわかる
1つ目のメリットはクライアントの温度感がわかることです。
営業マンが熱烈なトークをしても、クライアントが商品を買う気がなかったら刺さる可能性は低いでしょう。
最初にテストクロージングをすれば「現段階で相手は買う気がない。それならサービスの提案よりも、ビジネスにおける現状の課題をヒアリングしたり、役立つ情報を提供したりするほうがいい」と判断できます。
このように、テストクロージングは相手との温度感を合わせて、適切な商談のテーマを選ぶために役立つのです。
クライアントとの信頼関係につながる
2つ目のメリットは、クライアントとの信頼関係を構築しやすくなることです。
基本的に「このサービスのいいところは〇〇です」と言われ続けることを好む人はいません。
一方的に営業トークを展開するよりも「現段階でこちらのサービスについてどうお考えでしょうか?」と意見を聞くことで、営業マンに対する印象がよくなります。
テストクロージングは相手の意見を聞く行為でもあるので、適度に挟むことで信頼関係の構築につながるのです。
成約するための課題が見える
テストクロージングをおこなうと、成約するまでに必要な課題が見えてきます。
たとえば、クライアントに意向を聞いた際に「他社はAというオプションが付いているのに対して、この商品は物足りなく感じる」といわれたら、付加価値が十分感じられていないことが課題です。
このようにテストクロージングをおこなうと、相手が購入するまでにネックと感じる部分がわかり、適切な提案内容に切り替えることが可能になります。
テストクロージングをするべきタイミング
商談中にむやみにテストクロージングをすることはおすすめできません。
具体的にどんなタイミングでおこなうべきか、3つの目安をご紹介します。
金額を提示する前
サービスを提案する際は価格を出すタイミングがあると思いますが、その場面こそテストクロージングに適しています。
営業では商品の特徴やメリットを紹介することが多いと思いますが、金額を出す前に「ここまで聞いていかがですか?ご不明な点はありますか?」と聞いてみましょう。
金額を提示する前に意向を聞くことで、クライアントが懸念する点を把握できます。
もし不明点がなく「費用を見てみたい」といわれたら、まず相場の金額を伝えたうえで自社のサービス金額を紹介しましょう。
クライアントが持つ「金額に対するイメージ」を知り「相場よりもお得だな」と思わせることが可能です。
サービスの提案後
最初にサービス内容を一通り提案した後も、テストクロージングに適したタイミングです。
紹介した内容に対して相手がどのように考えているのかわかり、次に取るべきアクションが明確になります。
たとえば「価格が高すぎる」といわれたら、社内で価格を調整して2回目の提案に挑めます。
受注率やクライアントの満足度を高めるために、サービスを提案したあとは必ずクライアントの感じている課題をヒアリングして疑問や懸念を払しょくすることに注力しましょう。
クロージングの前
商談が進み、いよいよ契約となったときにもテストクロージングは欠かせません。
ネックとなっていた部分は解決できたか、サービス内容や価格に満足いただけているかを確かめる最後のタイミングだからです。
仮にクロージングの直前で合意が取れていないと、サービスを導入した後にクレームが発生する可能性が高くなります。
「購入する」と意思決定がなされたあとでも「こちらの条件で再度問題ないかご確認いただけますか。懸念点などあればお気軽におっしゃってください」と念押ししましょう。
テストクロージングを成功させるコツ
効果を出すためには、特定の事項で相手の合意を得ることや、相手の意向を聞くことが大切です。
効果的な2つのコツについてご説明します。
5つのポイントで合意を得る
テストクロージングは単純に「買う気がある」と言葉をもらうだけでは不十分で、5つのポイントにおいて合意を得ることが重要です。
具体的には以下の通りです。
- なぜ商品を購入するのか
- 商品の金額に納得しているか
- サービス内容に満足しているか
- 自社でないとダメな理由は明確か
- このタイミングで買う理由があるか
一度に全てを聞くのは難しいと思いますが、商談の中にこれらの要素を織り交ぜて意思の確認を取りましょう。
クライアントが上記の項目に同意している状態であれば、サービス導入後もスムーズに事を進めやすくなります。
サービス提案前に意向を聞く
次のポイントは、サービスを提案する前にクライアントがどんなサービスを求めているのか意向を聞くことです。
最初に「今回検討するサービスにはどのようなものをお求めですか?」と聞くことで、提案内容のどの部分をアピールするべきかを知るヒントになります。
他の部分はさらりと説明して、重要な部分をじっくり説明することで、相手が求めているニーズにこたえることが可能になり、受注率を高められるでしょう。
テストクロージングの注意点
テストクロージングは役に立つ手法のひとつですが、必ずしも効果が出るとは限りません。
実際におこなうときに気を付けたい2つのことを解説します。
何回もテストクロージングしない
相手との温度感を合わせるために効果的なテストクロージングですが、やりすぎると煙たがられてしまいます。
また、相手の意見を受けてアピール内容を変えたり、次の提案を改善したりすることが大切なので、数を重ねればいいわけではありません。
相手の意向を聞いたうえで次にどう活かせるか、そして次の行動は成約するために効果があるのかを考えながらおこなうことが、テストクロージングを成功させる第一歩です。
BtoBビジネスで効果があるとは限らない
気を付けたいことの2つ目は、BtoBのビジネスでは効果がない可能性があることです。
なぜならBtoBの場合は、クライアントに複数の人がかかわるため、OKをもらったにもかかわらず後から上司のNGが出ることもあります。
したがって、1対1のやり取りでテストクロージングするのはリスクであり、なるべく決裁権を持つ人を巻き込むことが理想です。
決裁権を持つ人からOKをもらえれば、スムーズに成約まで持って行ける確率は高くなるでしょう。
テストクロージングを目的にしない
3つ目の注意点は「テストクロージングでOKをもらうこと」を目標にしないことです。
もちろんOKをもらえたら理想的ですが、人の心はそう簡単に動くものではないからです。
「すべての条件を満たしたから成約しますよね」という態度で接していると、相手に本音を見抜かれてしまいます。
人が物を買うときは、あとから理由付けをするものです。
そのためには、機械的に相手のニーズをヒアリングして満たすのではなく、営業マンとしての人間性を磨くことも大切です。
相手と信頼関係を築き、スムーズにやり取りができる関係を日頃から築くことを意識しましょう。
まとめ
営業の商談において、テストクロージングする際のポイントや注意点を解説しました。
テストクロージングは、成約させるために有効的な手段であり、クライアントと関係を築くためにも役立ちます。
ただタイミングを誤るとマイナスな評価につながることもあるので、時と場所を見極めて活用してみてください。
適切な状況でトークに取り入れて、成約率をあげるきっかけとしていただければと思います。
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