仕事で新しく営業担当となり、初めての商談を目前にして「そもそも商談って何?」「どう進めるかも知らない」という方も多いはずです。
営業の基本である商談には、目的や成約率を上げるための「流れ」や「コツ」が沢山あります。
これまで、商談という言葉自体をあまり意識したことがない方や、最近社会人になったばかりの方に、今回の記事は参考になると思います。
曖昧だった「商談」の理解を深め、新しく始まる営業活動に役立ててみてください。
商談とは?

商談とは「サービスや商品の取引をするための交渉・相談」のことを指します。
少なくとも、売り手側と買い手側の2者間での交渉や相談が行われます。
売り手側はサービスや商品を提案し、買い手側はサービスや商品の購入を検討して、契約に進みます。
また、基本的に商談の場においては、売り手側が主導で商談を進めることが一般的です。
商談の目的
商談の目的は、「お互いのビジネスを拡大する」ためです。
ビジネスは、利益を創出できなければ会社が存続できなくなってしまいます。
したがって、売り手側は自社の製品を契約してもらい、利益を創出し、ビジネスを拡大させます。
一方、買い手側は、商談相手の製品を購入して社内で活用することによって、ビジネス拡大を目指しています。
もしかすると、「買い手側にすでに購入意思があり、あるいは、誰でも知っているような製品の場合は、わざわざ商談など必要ないのでは?」と感じるかもしれません。
確かに、大手企業の製品では知名度があり、また企業として信頼度が高いことから、商談をせずともインターネット経由で購入されることも多いでしょう。
一方で、日本国内の全企業のうち、99.7%は中小企業が占めています。
わずか全体の0.3%に該当する大企業では、商談をしなくてもビジネスを拡大できるかもしれません。
しかし、99.7%を占める大半の企業では、商談が無ければビジネスの拡大は難しいと考えるべきでしょう。
商談と打ち合わせの違い
商談と打ち合わせの大きな違いは、「話す内容」が異なる点です。
商談とは、上述した通りサービスや商品を提案し、買い手側に契約してもらうことが目的です。
一方、打ち合わせは、既に買い手側が購入を決めており、細かい条件や今後の流れなどをすり合わせする場のことを指します。
簡単にいうと、サービスや商品の「契約前が商談」、「契約後が打ち合わせ」という分類になります。
種類 | 目的 | タイミング |
---|---|---|
商談 | 製品を提案し、 買い手側に契約してもらう | 契約前 |
打ち合わせ | 契約の細かい条件や 今後の流れなどをすり合わせる | 契約後 |
商談の流れ
商談の流れは「商談前」、「商談中」、「商談後」の大きく3つの段階に分けられます。
各段階において、その目的や行うべき作業は異なっており、流れは以下のようになります。
- STEP1事前準備
- STEP2挨拶・名刺交換
- STEP3アイスブレイク
- STEP4自己紹介
- STEP5ヒアリング
- STEP6サービス・商品の提案
- STEP7質疑応答
- STEP8クロージング
- STEP9お礼メール
- STEP10進捗確認
1は「商談前」、2〜8は「商談中」、9〜10を「商談後」に分類できます。
それぞれ解説していきます。
1.事前準備
商談を経験したことがある人であれば、「事前準備」は、商談の中で最も重要だと感じるでしょう。
商談は意外にも、ほとんどがこの「事前準備」で決まります。
事前準備で行うべきことは、主に以下の3つがあげられます。
- 商談のアポ取り
- 相手の会社や担当者についての情報収集
- 相手企業が抱える課題の仮説
- 課題に対してどう貢献できるかの提案
商談に臨む前の考え方として、「当日、商談の場で直接確認しよう」という考え方は避けるべきです。
なぜなら、相手から…
「我々の会社のことを何も知らないのか」
「何のために時間を作ったのか分からない」
「目的のない無駄な時間になってしまった」
など、最初からマイナスのイメージを持たれてしまうからです。
しっかりと情報収集をしてきた状態で質問をするのと、何も知らないで質問をするのとでは、相手に持たれる印象に大きな違いがあります。
商談の目的は、売り手側が買い手側にサービスや商品を提案し、契約してもらうことです。
忙しい中で時間をとってもらえたことに感謝して、双方にとって有意義な時間となるようにしましょう。
2.挨拶・名刺交換
事前準備と同じくらい印象に与える影響が強いのが、「挨拶」です。
時間を守る、身だしなみを整える事は当然で、加えて「どんな見た目で、どんな声で挨拶をするか」が案外見られています。
★営業の挨拶については、下記記事をご覧ください!
そして、社会人として基本的なことですが、名刺交換のマナーは事前に覚えておきましょう。
- 相手が文字を読める向きで渡す
- 胸の位置で相手の名刺よりも少し下で差し出す
- テーブルを挟まない
- 座らず立って行う
- 両手を使って受け取る
- 「頂戴いたします」と言う
- 氏名や会社ロゴに指が重ならないようにする
- 「○○様ですね」と氏名を確認する
また顧客に対して、自分の方から積極的に名刺交換を行うと好印象を持たれるでしょう。
3.アイスブレイク
商談におけるアイスブレイクとは、商談に入る前にお互いの緊張を解くために世間話などをすることです。
しかし、ただ緊張感を解くだけでなく、しっかりと「ラポール形成」ができるように、進め方や話す内容を事前に考えておきましょう。
▶ラポール形式とは、架け橋という意味で信頼関係や親密な関係などの意味です。
商談相手がどのようなことに興味があるのか、会社内でどのような課題を持っているのか常に思考を続けながらの会話を目指します。
なお、アイスブレイクのポイントは3つあります。
- 自己開示
- 商談相手の興味関心を探る
- 商談相手との共通点を見つける
また、アイスブレイクを進める上で注意すべきことは、「今の相手の様子を伺うこと」です。
なぜなら、一般的にアイスブレイクは重要だと言われていますが、苦手な人もいるからです。
たとえば、「仕事が忙しい中で時間を取っているのだから、無駄な話はしたくない」、「初対面の人とプライベートの話をしたくない」人など様々です。
自分が話の主導権を握ると会話を進めやすいですが、相手の顔や言葉尻をくみ取って、相手に不快な思いをさせないことが重要です。
4.自己紹介
こちらの「自己紹介」とは、プライベートな自己紹介ではなく、会社に関する事業内容などの紹介を意味します。
いかに商談相手に「話を聴く価値がある」「信用できる人」「信頼できる会社」だと思ってもらえるように伝える事を心がけましょう。
アイスブレイクと自己紹介をきっちりと分けず、慣れてくればアイスブレイクの中で自然に紹介していく進め方も出来るようになります。
5.ヒアリング
「ヒアリング」では、しっかりと自分が知りたいと思ったことや分からなかった話は、積極的に質問するようにしましょう。
話を理解できていないと思われることを恐れて、ヒアリングができないという営業もいますが、ここはしっかりとヒアリングできた方が好印象です。
一つだけ注意点を挙げるのであれば、質問ではなく尋問にならないように気をつけましょう。
連続した質問は攻められていると感じてしまうため、他社事例など、こちらから提供する情報なども取り入れながらヒアリングすることがポイントです。
インサイトセールスという営業手法が主流になった現在は、このヒアリング段階の重要性が増してきています。
▶インサイトセールスとは?
潜在的な課題を掘り起こし、その課題を顧客が理解した上でセールスをする営業スタイル
6.サービス・商品の提案
自社のサービス・商品の提案は、商談の中でメインの部分になります。
ダラダラと冗長に話をせずに、簡潔に分かりやすく伝えることがポイントです。
その際、自社の製品を購入して、顧客の課題が解決するまでの道筋をストーリー調にして伝えると、相手の心に響きやすくなります。このストーリーセリングを使うと、最大22倍、相手の記憶に残りやすくなるとも言われています。
また、説明途中で質問をしてくる顧客もいるので、その場合は、質問に回答しながら商品説明をするようにしましょう。
★ストーリーセリングについては、こちらの記事で詳しく触れています。
7.質疑応答
自社サービス・商品説明をした後は、必ず質疑応答の時間を設けるようにしましょう。
どれだけ分かりやすく簡潔に伝えられたとしても、完璧に全てを理解してもらえるわけではありません。
質問が多い相手ほど、サービスや商品に興味を持ってもらえていると判断することもできます。
8.クロージング
「クロージング」では、率直な意見を聞けると良いでしょう。
シンプルに「こちらのサービスはいかがでしょうか?」などを聞くことができれば、もし「今は興味がない」と言われたとしても、次の商談での改善に取り入れられます。
また、クロージング前に、クライアントが感じている課題や購入意欲を確認する「テストクロージング」というテクニックがあります。
慣れてくれば出来るテクニックなので、余裕があれば下記の記事を確認しておきましょう。
9.お礼メール
商談後は、必ず24時間以内にお礼メールを送りましょう。
人間の記憶能力上、時間が経てば経つほど、商談の内容を忘れていってしまいます。
そのため、相手に良い印象を残すだけでなく、相手の記憶に定着させる目的もあるのを覚えておきましょう。
件名については、「本日の御礼【社名 氏名】」で問題ないでしょう。
★本文のテンプレートなどは、下記の記事で紹介しています。
10.進捗確認
商談をしたその日で提案が終わるわけではありません。
期間が空いたら後追いをして、「進捗はいかがでしょうか?」などの連絡を入れます。
アフターフォローを定期的にすることで、良好な関係性を継続的に保ちましょう。
まとめ

商談の流れやポイントを解説してきました。
他にも商談相手と上手くコミュニケーションをとるコツや心理学を活用したテクニックなど、商談を成功させるポイントは数多くあります。
しかし、机上で覚える知識や、小手先のテクニックは実戦にはなかなか通用しないのが現実です。何度も試行錯誤しながら実戦の経験を多く積みましょう。
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